大子町上野宮などの住民らで組織する「ヤミゾ花粉研究会」の仕事は、“春の嫌われもの”のスギやヒノキの花粉を採取すること。採取した花粉は、大学、製薬会社、精密機械、作業服製造販売メーカーなどで研究材料に使われている。
2~3月の天気の良い日は、近隣の山で作業に当たる。
作業は、雄花をたっぷりつけたスギやヒノキの枝を採取することから。採取した枝は、A4サイズほどの特殊な袋に入れて、ビニールハウス内で10日ほど保管する。すると雄花が破裂して袋の中に花粉がたまるという流れだ。
採れる花粉は、1袋あたり多くて5g程度。仕上げに、袋ごとゆすって、最後の花粉まで採取する。
メンバーの親類が花粉の研究者だったことが、会発足のきっかけ。親類が退職後に採取技術を教わったという。
作業を指揮する戸辺洋一さん(73)は、「採取するタイミングが難しい。取り逃がしたこともあった」と話す。代表の片野光さん(72)は、「花粉を必要とされるまで続けたい。いつか特効薬の開発につながれば」と話していた。
花粉は申請書を提出してもらい、使用目的が人道的な場合のみ販売している。