日立市河原子町の河原子北浜スポーツ広場は、河原子海岸の北側奥にある。なぎさと、それに平行する岸壁との間の細長いスペースに、ドッグランなどいくつかの施設があるが、訪ねる人の心を和ませるのは、入り口付近の芝生広場。広さ約6000平方メートルで、築山がある。
築山の頂点からは、かなたの水平線を見渡し、寝転がれば、芝生の緑と、岸壁の木々の緑に包まれる感覚になる。絶えず聞こえてくる潮騒は、日常の騒がしさを忘れさせる。
管理棟の大津雅史さん(64)は、元消防士。現役時代は、水難事故を想定した訓練で、同広場を使用したという。訓練はヘリコプターも出動する本格的なもので、秒刻みの工程。そんな折り、管理棟のスタッフを、うらやましくも思ったという。「こんなにきれいな場所で、のんびりと楽しそうで」
4年前に同広場に赴任して現実を思い知った。美しい景観や雰囲気は、絶え間ない手入れの結果だった。「今の時期は、延々と草刈りしている。かつては、人の命を守ることが仕事だった。今は、人の幸せを守るのが仕事」と大津さん。