鉾田市汲上の長田純一さん(69)は、視覚障害者用のゲーム「手さぐり四目並べ」を考案し、全国の盲学校などに寄贈している。昨年から始めて、これまでに約400セットを寄贈した。点字でのお礼状が次々に届くなど、各地で喜ばれている。
ゲームは、市販の立体パズルゲームの四目並べをヒントにしたもの。A3サイズの箱の中央に、高さ20cmほどの棒が一列に8本立っていて、その棒に駒を入れていく。駒は、手触りで違いがわかるように、球形と正方形の2種類にした。縦、横、斜めのいずれかで先に4つ同じ形をそろえた方が勝ちとなる。
考案したのは、ボランティアで演奏活動をしていた30代の頃、障害者と交流したことがきっかけ。障害はさまざまだったが、視覚障害者と出会う機会はほとんどなかったという。不思議に思って聞いてみると、外出できる機会が少ないという現状を知った。
仕事に区切りをつけ、鉾田市で移住生活を送っていた4年ほど前、ゲームを作ってみようと思い立った。機械の設計をしてきた腕を生かして、設計図を引き、木材を使って試作を重ねた。
試作品は、日本盲導犬協会に送って、全盲の人たちに使ってもらった。「これは楽しい」との感想を得たことを機に、木工職人や近所の仲間たちの協力を得て、本格的に制作を開始。今年1月には、同市のふるさと納税返礼品にも選ばれた。
ゲーム制作の仲間は、「天使の手作り工房」と名付けた。「少しでも楽しんでもらえたら。今後も必要としてくれる人に届けたい」と、長田さん。