石川さん
北茨城市の大津漁港に立つ石川さん

あれから10年 3.11カット
 大津漁業協同組合の専務理事、石川秀夫さん(63)は、大震災のあった3月11日の翌日、津波を浴びて、完全に姿を変えた同組合の建屋に向かった。

 前日に慌てて現金をしまった金庫が流されていなかったことに安心した後は、泥だらけの現金を、組合員の当面の生活資金として配るために洗い、干した。

 700万円あまりを、すべて一人で整えた。冗談好きな性格だが、「あの混乱だから、もらってしまっても、ばれなかったよな」なんて言葉が浮かんだのは、あの日から半年ほどたってから。それほど、無我夢中で復旧作業にあたった。

 すっかりきれいになった港と組合建屋を見ても、「まだまだ」と漏らすのは、港から県境まで5㌔に満たないから。組合員の多くが操業する小型船は、それ以上北へは行けない。

 補償があるから、生活には困らない。「でも、先が見えない仕事では、若者たちが育たないんだよ」と晴れない表情で語った。

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