感動のマンゴー収穫期 「もういいよ」の声が次々 荒木田さんのほ場(茨城・行方市)
右から、久美子さん、荒木田さん、宏和さん。

 行方市芹沢の荒木田久男さん(77)が栽培するマンゴーが4回目の収穫期を迎えている。マンゴーを栽培する10棟のビニールハウス内には、ソフトボールをひと回り大きくしたサイズの実が数えきれぬほど。濃い紫色が、真っ赤に変わると収穫直前のサインだ。

 栽培メンバーは、荒木田さんと妻のひで子さん(75)、娘の江連久美子さん(45)と夫の宏和さん(49)。

 4人の表情が明るいのは、この時期の作業が、「感動の瞬間の連続だから」と久美子さん。

 マンゴーの原産地はインドからインドシナ半島周辺。日本では、宮崎県や沖縄県などが特産地として知られる。本県での栽培は、温度管理などで、大きな苦労と経費が伴うことから、本格的に取り組む農家は少ない。

 荒木田さんが栽培を始めたのは、知人のすすめから。「『行方を盛り上げようよ』と提案されて、その気になった」と荒木田さん。もともとベテランの農家ではあった。

 最初は、荒木田さん夫婦のみ。2年後に久美子さんが合流、その翌年に宏和さんが加わった。久美子さん夫婦は、それぞれ会社員だったが、「マンゴーに夢を抱いてしまって」と久美子さん。

 4人が栽培するマンゴーは、“完熟マンゴー”。だから、実のもぎ取りはしない。完熟の時期が近づくと、実を細長いネットで覆う。その後は、実が自然にもぎれて、ネット内に落ちるのを待つ。「マンゴーが、『もういいよ』と言ってくれるのを待っている感覚」と宏和さん。

 落下の瞬間こそが、4人が言う感動の瞬間だ。

 「すべての苦労が報われる」という。

 4人が運営するホームページにある動画で、完熟したマンゴーが落ちる瞬間を見ることができる。完熟マンゴー栽培の象徴的な場面として「欠かせなかった」。

 撮影は、プロのカメラマンと4人が見守る中で行われた。撮影がスムーズに終わるよう、カメラは、落下直前と予想された実に向けて固定した。しかし、予想に反して、実は、なかなか落ちなかった。一方で、周りの実はどんどん落ちていった。

 撮影に成功したのは、10時間近くが経過した後のこと。久美子さんは、「あんなに大きな声を上げたのは本当に久しぶりだった」と笑う。

 収穫は7月末まで。

 

〈メモ〉荒木田さんのマンゴーのブランド名は「なめがたプリンセス」。4人がつくる会社の名は「フルーツの郷 栄果」。ホームページは社名で検索。マンゴーの価格は、1個9000円から。直売と通信販売も行っている。同社☎0299・57・2755。

 

 

 

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